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魔術士オーフェンはぐれ旅 新シリーズ勢力図

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勢力図

「魔術士オーフェンはぐれ旅」の「原大陸開戦」以降の大雑把な勢力図です。具体的にどのタイミングのものとうきっちりした線引きはしていません。全般を振り返って、「だいたいこんな感じだったよね」という具合です。

【考察】「魔術士オーフェンはぐれ旅 女神未来(下)」

感想とまとめて記事にするつもりでしたが、少し長くなったので分割。感想はまた後日。

「女神未来(下)」を読み終えて、設定面の整理と、推測による補足。
過去の話を忘れているだろうせいで、おかしい考察もあるかもしれません。すみません。

以下、「魔術士オーフェンはぐれ旅 女神未来(下)」のネタバレを含みます。

世界の約束と終焉

カーロッタから世界の約束について語られました。
「運命の女神」が来るのは、行き詰った可能性を壊して、未来へ繋げるための慈悲。行き詰ってさえいなければ、来ることはない。
「行き詰まり」とはなにを指すのか――それは約束が違えられること。世界の「約束」、すなわち「常世界法則」によって定められた「世界の終焉」、それが「運命の女神スクルド」です。
未来を司る女神スクルドが、世界終焉の法則であることは、いかにも絶望の多い世界らしく思えます。「終焉のない世界」は「未来がない」と表現されているわけです。

ちなみに、「我が聖域に開け扉(下)」では、始祖魔術士が「女神が結界に侵入を果たせば、世界終焉の約束――全世界質量の降臨をもやりかねない」と語っていました。彼らは運命の女神の目的を理解していたようです。
(さらに、始祖魔術士は「魔王を召喚して戦うなどと言う者もいた。が、それは効かぬのだ」とも言っているので、スウェーデンボリーがスクルドにだけは勝てないという設定すら、彼らは知っていたことになります)

「破滅に抗う仕組み」=「不死の仕組み」は、世界の約束を違えるものだとカーロッタは語ります。彼女の考える「世界の正しいあり方」は約束されたとおりに「必ず破滅がやってくること」。
かつてのキエサルヒマにあった不死の仕組みはアイルマンカー結界です。そして、原大陸においては魔王術で武装した戦術騎士団がそうだったというわけです。壊滅災害に対処する戦術騎士団は、神々による破滅を拒むアイルマンカー結界と同じものだ、と。
ただ、「完全な安全を目指す意志」とも言われ、圧倒的な力を誇る始祖魔術士によって形成されたアイルマンカー結界と比べて、あまりにも犠牲の多い組織なので、そのことに思い至らなかったように思います。

戦術騎士団があるから、運命の女神はそれを壊そうとしてやってくる。そこでカーロッタが選んだ対処は「確実な破滅」を用意することでした。魔王術でさえ防げない、必ず世界を破滅させるもの。それが、魔王を取り込んだことにより魔王術が効かなくなったシマス・ヴァンパイアです。
魔王に対して魔王術が効かないことは、「魔術学校攻防」の戦術騎士団の会議にて語られています。クレイリーの「敵がスウェーデンボリーなら」という指摘に、オーフェンが「魔王術の封印も効かない」と認めていました。
ただ、この会話はすべてを語っていません。リベレータの要塞船でスウェーデンボリーと対峙したオーフェンは「お前を封じるほどの魔王術はまだ仕組めない」と言っています。これはスウェーデンボリーに魔王術が効く可能性があるように読めます。おそらく、「鋏」相当の魔王術になるのでしょう。「鋏」は、魔王すら滅ぼし得る、全魔法の例外です。鋏を生成できるのは魔王の力を持つオーフェンだけなので、他者との会話では「魔王術は効かない」となるのかもしれません。

そして、魔王を取り込んだシマス・ヴァンパイアを滅ぼし得るのも「鋏」だけということになります。しかし、その鋏すら彼の手に渡り、もはや誰にもシマス・ヴァンパイアの巨人化を止めることはできません。シマスは質量を集め続け、いずれ全世界質量の降臨を起こします。
「確実な破滅」があるから、世界終焉である運命の女神に出番はない――女神はもう来ない、という決着です。運命の女神によって滅ぼされるかもしれないという不安はなくなる、カーロッタの「わたしたちには未来があるのよ」という言葉が現実となりました。

それにしても、言われてみれば確かに、アイルマンカー結界に隙間があったように、魔王術の封印にも欠陥があって、なるほど同じものだったんだなあと思います。

#ところで、「約束を違えてはならない」というのは、あくまで女神信仰者カーロッタの考えです。約束に従わず、「運命の女神を封印する」というのも選択のひとつとしては、ありなのかもしれません。結末はさておき。

神人種族はもう来ない?

ところで、「神々はドラゴン種族や人間種族を滅ぼそうとしている」という話がありました。
前項の「世界の破滅が約束されているから女神はの出番はない」とはまた別の話だと思うのですが、こちらはどうなったのかという話について。

「我が聖域に開け扉(下)」の結末同様、今回も「偶然滅びる可能性がある」状態になったと考えてもいいのかもしれませんが、そういった話は一切出てきません。どちらかといえば、シマス・ヴァンパイアが世界を破滅させるまではなにも起きない、つまり壊滅災害も訪れないと話しているように感じました。ほかの神人種族のことを懸念している様子がまったくなくて。

エピローグでのオーフェンの説明に「神人種族も魔王に手出しできなくなった」とあります。
神人種族には現出してしまった矛盾と煩わしさから、神への復帰を目指そうとする願望があります。さらに、「魔術学校攻防」では、神人種族が魔王術を手に入れた場合、自分たちの矛盾を晴らすために世界を望むように造り替え続けるだろうとも語られていました。
神人種族が魔王術を使えるようになるには、魔王を奴隷化する必要があります。奴隷化の具体的な方法は語られていませんが、魔王を屈服させることでその力を利用できるようになるようです。

キエサルヒマ結界の崩壊後、人間種族には神人種族と遭遇する可能性ができたわけですが、実際に神人種族と遭遇したのは原大陸側です。メイソンフォーリーン、デグラジウスの2体は敵意を持って、人間種族に襲いかかってきました。
人間種族を滅ぼすことが目的なら、キエサルヒマに出現しても良いはずです。ただの「偶然」かもしれません。しかし、彼らの目的が魔王術の入手だったとしたら、“魔王スウェーデンボリーがいる”原大陸に出現したという推測もできます。

一方で、デグラジウスを最後に、神人種族は出現していません(運命の女神はディープ・ドラゴン種族によって彼方に吹き飛ばされ、戻ってくるのに時間がかかるためですが)。
この点については、案外、「約束の地で」にてベイジットが推測した「魔王には神人種族への対抗策がある。だから、神人種族は怖がって近づかない」が正解なんじゃないかな、と思っています。魔王オーフェンによってデグラジウスが封印されて以降、神人種族は出現していないわけですから。
スウェーデンボリーにしても同様で、オーフェンに力を奪われるまでは彼は魔王としての力を持っていたため、スクルド以外では太刀打ちできません。そのスウェーデンボリーが無力となったために、神人種族が彼を狙って現れた。しかし、スウェーデンボリーから魔王術を託された人間種族によって、神人種族が滅ぼされる可能性が生じたため、再び神人種族は魔王を恐れて現れなくなったのではないでしょうか。

例えば戦術騎士団が消滅したりして魔王術の脅威が小さくなれば、神人種族にまた機会が巡ってくるわけですが。肝心の魔王スウェーデンボリーは、今回、シマス・ヴァンパイアに吸収され、魔王術でさえも解消不可能な状態になってしまいました。
つまり、神人種族が原大陸に現れた理由は、魔王術を手に入れて己の矛盾を晴らすためで、人間種族を滅ぼすためではなかったと考えると、魔王に手出しできなくなった今後は神人種族がわざわざやってくることもない。あるいは、魔王術の入手と人間種族の殲滅のふたつが目的だった場合も、魔王には手出しできなくなったし、魔王術で封印される可能性があるから、やはりわざわざやってくることはない。そんな話に落ち着くのかなと思いました。

多分に推測を含む考察になってしまいましたが。神人種族が原大陸に現れた理由については、まるっと間違えてるかもしれないな…と思います。
ただ、「女神未来(上)」で戦術騎士団は不要だという話が出た際に、「ほかの神人種族が来たときのために戦術騎士団は必要だ」という反論も出なかったので、理由はともかく、少なくとも「神人種族はもう来ない」と思ってもよい気はします。

#「我が聖域に開け扉(下)」までに出てくる情報の多くは、あまりあてにできないというのが厄介だなと思います_(:3 」∠)_

天井

巨人化も魔王術もなくなってはいないが、どちらも際限のないものではなくなったという話について。
巨人化の天井は分かりやすく、シマスに取り込まれるから。巨人化が進むと、シマス・ヴァンパイアに巨人化した部位を吸収されて、もとの人間に戻ってしまう。このため、今後は危機強度に達するヴァンパイアは現れないだろうと語られています。
シマスの他者を取り込む能力については、「巨人化は質量を集める」という性質によるものだと推測できます。ヴァンパイアだけを取り込む理由は不明ですが、神人種族も取り込んでいますし、やろうと思えばふつうの人間も取り込めるだろうと思います。なにか理由をつけるなら、とりあえず質量の大きいもの(巨人化した人間)から取り込んでいく、くらいに思っておけばいいのかな…と、今のところは思ってます。

魔王術の天井については、不可能を可能とする万能の術だったものに、決して解消できない存在ができたからだと考えられます。魔王術は魔法ではなくなってしまった。
巨人化の天井と比べると、魔王術の天井は解釈が難しいように思います。具体的な線引きが分からず、言葉遊びにも近いです。確かにシマス・ヴァンパイアの巨人化は止められないけど、それ以外のことは?と疑問を持ってしまいます。
しかし、魔王術にはもともと「代償」という制限がついています。万能に近い偽典構成を仕組めるのも、現実にはオーフェンか、すでに滅んだマルカジットくらいしかいません。
そう考えると、際限がなくなったことで天井が確かなものになったと言えるのかもしれません。

実際は巨人化の天井には例外があって、シマス・ヴァンパイアの巨人化については際限がありません。そういう意味では、オーフェンも魔王の力を持ったままのようなので、魔王術についても同じことかもしれません。

ヴァンパイアが暴れない理由

最後にこれですが。正直、よく分からずにいます…。
「ドンナ手段でも消せないヴァンパイアと、それを消せるタダひとつの手段の鋏」「これだけがコトを終わらせられるカラ、待ち侘びてンだ」この台詞については、雰囲気は分けるけど、理屈は分からない…という気持ちです。

カーロッタが支配していたわけではない、とはいえ、カーロッタに従って行動していたのは確かです。ベイジット達を襲おうとしたヴァンパイアを止めたのも彼女でしたし。逆にカーロッタに支配されていない、ローグタウンに入れなかったヴァンパイアがキルスタンウッズを壊滅させたりもしています。
また、鋏を持ったヴァンパイアは暴れないのかと言えばそうでもなく、かつてのケシオン・ヴァンパイアもかなり強大化したヴァンパイアで、しかも鋏を持っていたのですが、彼は暴れまわりました。カーロッタから「教わった」ヴァンパイアだけが、暴れなくなっていたようです。

ケシオン・ヴァンパイアが暴れ続けたことや、戦術騎士団基地でのヴァンパイア達の行動の疑問点(社会性を失い、共闘しないはずなのに、シマスに取り込まれるべく行動している)については、スウェーデンボリーが制御していたとも考えられるかもしれませんが、神人種族の能力って、どれくらいの範囲まで有効なのかしら…。

うーん?という疑問を残しつつ、いつか、なるほどと閃くかもしれません。

考察あとがき

常世界法則まわりの設定はなかなか複雑なものだと思います。ある部分を読んで「なるほど」と思っても、ほかの部分を読むと「あれ?」となる。さらに新しい部分を読むと、「あれとあれはそういうことだったのか」と繋がったり、さらに分からなくなったり。部分的に語られたり、捏造された話が語られたりしていて、全体像を把握するのが難しくなっています。
しかし、実際はあの世界の方向性はおそらくシンプルなもので、だからこそ最後に示される答えになるほどと思えるのではないかと思うわけですが、そこから派生するさまざまな要素や思惑が絡み合って難しいことになるのだろうと思います。なにしろ、世界主自身が世界を裏切っているのですから。だけど、そんな魔王様も大好きです。

新シリーズが完結して、そういうことだったのか~と感慨深くなる部分もあれば、これはどういうことなの?という部分もあって、もっといろいろ描いて欲しかったなあと思う面もあります。クレイリーやエドの魔王術の代償も気になりますし。
しかし、「我が聖域に開け扉(下)」まででは明かされていなかった事実を読むことができたのは、僥倖だったと思います。

【考察】魔術士オーフェンはぐれ旅:魔王術

考察っていうか、情報整理です。いや、考察も含むか…。

魔王術の使用にはなぜ代償が生じるのか

  • 魔王術ではない通常魔術であっても、強大な魔術の行使には体力の消耗が生じる。その規模によっては術者すら消滅する(世界図塔の制御では多数の術者が消滅している)。
  • 魔王術の代償は、偽典構成の精度を上げることで軽減することができる。偽典構成の半分は反動を抑えるための構成であるが、この「反動」は代償を指していると思われる。
  • ダミアン・ルーウは力の節約に長け、存在が不安定な精神士でありながら長期間の存在維持を実現した。このことは、偽典構成を上手く仕組めば、代償が軽くなる点と通じる。
  • オーフェンの推論では、代償は精神化と同種の現象。
  • 精神化によって肉体の束縛や制限から解放されることで、魔術士はより強大な力を手に入れることができる。

これらのことから、代償は魔王術という強大な術を使用するために必要なリソースであると考えられる。
自身の一部を捨て去ることでより強大な術の行使を可能としている。言い方を変えれば、魔王術を行使するためには、自身の一部を捨てなければならないほどの力を必要とするということでもある。

代償はどのようにして選ばれるのか

代償の形は術者によって異なる。
オーフェンに代償が生じない理由として、失うことに意味を感じていないからだという魔王スウェーデンボリーの台詞がある。これは「失うことに意味を感じていれば代償が生じる」ということになる。
「失うことに意味を感じる」は「失いたくないと感じる」と捉えることができる。失ってもかまわないものであれば、失うことに意味は感じないであろう。したがって、術者にとって「代償」は「失いたくないもの」だということになる。

魔王術の制限

魔王術の代償は、しばしば「制限」と表現される。代償が生じるために、術者は魔王術をやりたい放題に使用することができない。
代償は術者にとって「失いたくないもの」なので、そのまま魔王術の制限となるわけである。

しかし、人間やけくそになったら、すべてを投げ捨てることもあるのでは?と思うわけだが、ゆえに魔王術の使用が厳しく限定されているのだろう。誘惑に負けるような意志の弱い者には魔王術の習得は許されないかもしれない。クレイリーなどは自身が重傷を負っても魔王術に頼らない精神力があるゆえに重用されていた。

オーフェンの魔王術

先にも述べたが、魔王スウェーデンボリーの台詞に「君は魔王術の制限がないのではない。分かるか? 失うことに意味を感じていないんだ」というものがある。
代償は術者にとって失うことに意味を感じるものであるが、失うことに意味を感じないオーフェンの魔王術には代償(制限)が生じない。

ひとつ思うこと

失うことに意味を感じないとはどういう意味か。失うことが得意だとはどういう意味か。魔王の言葉からは「本当は失っているが、失っていると感じていない」のだとも推測される。
一方で「打ち勝つとは、必要な犠牲を払った上で前に進むことだ」という最接近領領主の台詞が思い出される。のちに、オーフェンは「必要とあらば殺す者」とも表現されるようになる。
オーフェンは娘を魔術戦士とすることを必要なことだと判断した。オーフェンにとってそれは喪失ではないが、代償のひとつだと言えるのかもしれない。

もうひとつ思うこと(こっちが本筋)

とはいえ、魔王術の代償は、基本的に術の使用後、本人に直接のダメージとして生じる(肉体的ダメージとは限らないが)。その点ではやはりオーフェンには魔王術の代償がないのだと言える。
「制限がないからこその喪失が待つ」という台詞からも、やはり現時点では喪失していないととれる。
《ていうかボリーさんの台詞は解釈が難しいですね。人間種族に理解しやすい説明ができないという彼の欠点が、読者にまで困惑を生じさせr……誰もがオーフェンさんみたいに頭がいいわけじゃないんだからね…_(:3 」∠)_》

魔王術の行使(強大な術の行使)には、力の消耗が発生するはずだが、オーフェンは代償をなしにどうやって魔王術を使っているのか。
魔王術の代償は偽典構成の精度によって軽減できるが、皆無にはできないと述べられている。オーフェンが卓抜した魔王術の使い手であっても、それは同様だと考えられる(そうでなければ、エッジが父親の魔王術に代償が生じないことに疑問や不安を持ったりはしないはずである)。
他の術者とオーフェンの決定的な違いは、魔王の力の所持である。オーフェンは魔王の力という巨大なリソースを抱えている。このため、魔王術の行使による消耗に耐えうると推測できる。

制限がないゆえの喪失

魔王スウェーデンボリーの台詞に「最後には、制限がないからこその喪失が待つ。君は全能の魔王に近づいていく」がある。
「全能の魔王になる」は神化を意味している。神化にいたるには肉体の喪失、精神の喪失が伴う。また、全知全能とは純粋可能性のみの状態であり、全物質が存在しない状態を意味する。この状態になることもあわせて喪失と表現しているのではないだろうか。

現時点で、オーフェンはスウェーデンボリーを封じる規模の魔王術は仕組めないと言っている。女神を倒すことはできないという発言もある。
オーフェンの魔王術はいまだ完全な制御には至っていないのである。伸びしろがあるとも言える。そのため「近づいていく」と表現されている。

魔術構成は世界を書き換える手続きであり、対象の仕組みを理解していなければならない。ドラゴン種族は常世界法則を解析したすえに魔術を手に入れている。魔王スウェーデンボリーは世界を悟るために、精神まで捨て去っている。神化とはまさしく「全知」化である。
オーフェンが魔王スウェーデンボリーを、現世界の調停者を、世界を封じる規模の魔王術を仕組むということは、世界に対して全知になるということである。
つまり、オーフェンが魔王術を極めていくことが、魔王に近づいていくということであると考えられる。

おまけの整理

全知全能←→零知零能
神←→人
神人種族←→巨人種族
精神化←→肉体化
悟りを開く←→知性を失う
???←→全世界質量降臨

【考察】魔術士オーフェンはぐれ旅:スウェーデンボリー考察と整理

以下の考察には「魔術学校攻防」までのネタバレ、考察を含みます。
文中に出てくる「ボリーさん」は「スウェーデンボリー」のことです。あ、愛称…。

ボリーさんの魔術泥棒の仕組み

魔術を使うにあたって「魔術構成を編む」「魔力を注ぎ込む」「魔術の影響範囲を決める(媒体の使用)」みたいな要素があって、ボリーさんは魔力を持っていない(オーフェンに奪われた)だけで、魔術構成を編むことはできるので、他人の魔術の構成を編み直す(書き換える)ことで魔術を使用している。
マヨいわく、理論上は他人の魔術構成に干渉することは可能だが、それを実際にやってのけるのは常識を凌駕した熟達。

相手の構成を理解しなければ書き換えることもできないので、構成を暗号化すれば奪われないですむ。が、オーフェンほどの魔術士が複雑な構成や誤魔化した構成を使っても、ボリーさんが本気を出すと看破されてしまう。そういうレベルのお人。

また、ケース別に見ると

  • マヨールの魔術を奪ったとき→呪文なし
  • 天人もどきの魔術を奪ったとき→呪文あり(オーフェンには理解できない言語)
  • オーフェンの魔術を奪ったとき→呪文なし

って感じなので、ボリーさんはたぶん音声魔術士なのだろう…。あくまで音声が媒体で、天人の魔術を奪った時はそれがなかったので自分で唱えたのかな、と。

オーフェンが魔術文字を奪ったのはボリーさんのように構成の書き換えを行ったのではなく、魔王術を使って魔術文字を自分の手元に転移させた感じだろう。
(ところで、この戦い、オーフェンはこの魔術文字の効果を理解していたと思われるわけで。魔術文字の解析が行われているとはいえ、魔王オーフェンの頭の中はどんなことになってるんだろう……)

ボリーさんが魔王術を使えない理由

とりあえず、魔力がないので魔術を媒体にした魔王術は使えない。

  • 魔王術泥棒はできるのか→できない。
  • 偽典構成だから泥棒できないのか→『魔王に対して使える術は、構成を暗号化した特殊術か……魔王には使えない魔王術だけだ。』という記述から、構成の差異が理由ではないように感じられる。暗号化と並べて書くのだから『偽典構成を使用する魔王術だけだ』のように構成を主として書いてよさそうなものだし。はっきりと『魔王には使えない』とあるので、魔王もといアイルマンカーたる理由があるような気がする。

そもそも、魔力があった時代にも魔王術を使ってないようなので(自分で他の神人種族を封じてしまえばいいのにやってない※)、魔力の有無や偽典構成にかかわらず使えないんじゃないかな。たぶん。
※スクルドが相手の場合は魔王術が使えても対抗できないのだろうけど。

ボリーさんが人間種族に魔王術を使わせる理由の4つめ

女神に負けることを恐れているボリーさんは、なんで人間種族には魔王術を教えたの?ボリーさんが人間に負ける可能性だって出てくるのに。
とりあえず3つの理由は

  • ほかに女神を倒す方法がない。人間種族に女神を倒してほしい(戦う手段として教えた)
  • 巨人化の問題も深刻だから、自分たちで処理して欲しい
  • 人間種族の能力は不安定で、能力を得るのも早いが失うのも早い(自分を凌駕するより先に力を失うだろう)

4つめは
オーフェンが自身を凌駕し、新たなアイルマンカーになることを望んでいる。
ただし、ウォーカーになって世界離脱して欲しいではないと思われる。ボリーさんにはこの世界から解放されたいという願望があるが、“現世界”の創造主である以上、それは叶わない。だから、オーフェンが自分になり代わることを望んでいる。
「なり代わる」ということは、“現世界”の新たな創造主となること、つまりボリーさんが作った世界をオーフェンが書き換えることであると推測できる。書き換えてしまえば“現世界”は消えるだろうから、ボリーさんが望むオーフェンの神化は“現世界”の破滅を意味する可能性がある。

  • 魔剣「天世界の門(オーロラサークル)」の別名
  • 世界を書き換える行為の比喩=魔王術の比喩
  • 過去との決別の比喩
  • 人と人の縁を切るモノの比喩